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浸透圧

おいしい漬物が食べられること、芳醇な梅酒が味わえること、コンビニのゆで卵がおいしいこと。これらは細胞の浸透圧を上手く利用して作られているんですよね。電子顕微鏡の試料作成においても浸透圧ってとても重要な要素なのです。今日は身近な出来事から浸透圧についてお話したいと思います。

目次

浸透圧?

吉田社長
「おーい誰か~塩を持ってきてくれ~」

高木
「社長~大声で何を大騒ぎしているのですか?」

吉田
「おっきなナメクジが玄関に貼りついてて・・」「昔からカタツムリは可愛いんだけど、ナメクジはちょっと苦手で、ナメクジに塩をかけると溶けて無くなるじゃないですか。」

高木
「え??・・溶けてなくなりませんよ?いくら塩をかけても」

吉田
「そうなのですか??ちっちゃくなって無くなるじゃないですか。」

高木
「これは、浸透圧でナメクジの体内から水分が流出しているだけですから」

吉田
「じゃあ、お湯をかけて・・・」

高木
「ナメクジを固定しちゃうんですか?」

吉田
「固定??」「電顕をやっていると固定や浸透圧って言葉はよく聞きますが・・・よく判らないんですよ。皆さん良く浸透圧が・・固定液がなんて話をしていますが。」

高木
「我々の仕事では、確かに固定や浸透圧というのは非常に重要ですね。今日はまず浸透圧について話していきましょうか?」

小塚
「また面白そうな話をしていますね。」

浸透圧とは

小塚
「細胞の中と外は細胞膜を通して様々な物質が移動しています。この細胞膜は浸透膜の一種なのですが、浸透圧とは、この浸透膜を介して2つの濃度が違う液体が隣り合っているときに、濃度を一定に保とうとして水分が移動する力のことです。ただ、生物の浸透膜はちょっと特殊な構造をしていて、水など分子の小さいものは通すけど、大きな分子は通さないという性質を持っているのですよ。」

高木
「動物や植物の細胞はそれぞれが1つのカプセルのようになっていて、外部と物質を直接的にやりとりすることができないために、細胞の内外の物質の交換には浸透膜と浸透圧が利用されています。細胞膜では、サイズの小さい分子やイオンでも通りやすいものと、通りづらいものがあって、この他にもイオンチャネルなどを使った物質移動の仕組みもあるのですが、この話はまたそのうちに・・・」

吉田
「何か急に話が難しくなってきましたが、細胞の外と中とで物質の交換が行われるわけですね。」

浸透圧の身近な例

小塚
「先程のナメクジの話ですが、ナメクジは体の約85%が水分なんですよ。だから、塩をかけると、浸透圧によってナメクジの水分がどんどん細胞の外に出ていこうとするわけで、最終的にはしぼんでしまうといったほうが正しいのです。」

高木
「野菜の漬物とか梅酒なんかも浸透圧を上手に利用している例ですよね。野菜を塩に漬けると内部の水がでてしわしわになりますよね。塩もびちょびちょになるじゃないですか。水は塩分濃度の薄い方から濃い方に移動するんですよ。逆に、しわしわになった野菜にみずを加えれば、ある程度元通りになるんですよ。」

吉田
「八百屋さんで古くなった野菜を水に浸けて、新鮮だって言って売っていたのはそれだったんですね。それでもだめなら塩漬けにしてましたよね・・・・」

高木
「水は腐りやすいですからね」

吉田
「そういえば、漬物は塩分ですが、梅酒は氷砂糖を使いますよね。浸透圧は塩分でも糖分でも同じなんでしょうか。」

小塚
「浸透圧の力はそれぞれです。塩分のほうが、糖分よりも浸透圧は高いと言われております。ちなみにナメクジに砂糖をかけてもしぼみますよ。」

高木
「ただ、梅酒はお酒も入れますから。アルコールを用いた脱水も浸透圧によるもので、細菌の消毒薬などでも利用されていますよ。」

小塚
「少し浸透圧のことがわかってきましたかね?」

吉田
「古くなった野菜は水につけるとよいってことは・・・」

小塚
「浸透膜に隔てられてできた2つの溶液を比べた時、浸透圧が高い溶液を高張液、浸透圧が低い溶液を低張液、浸透圧が等しい溶液を等張液と呼びます。この液の中に細胞を入れる事が形態学の世界では重要になってくるんです。」

高木
「浸透圧は「水を引き込む力」とも言われていて、液体に入れる事で細胞の体積は当然変化します。細胞より濃度の高い高張液に入れるということは、野菜を塩漬けにすることと一緒です。野菜がしわしわになるイメージです。細胞は液中で収縮します。逆に低張液に入れると言う事は野菜を水に浸すことで野菜がぱんぱんになるイメージです。これは細胞が液中で膨張するということになります。」

小塚
「血液中に含まれる赤血球は膜で覆われていて、血液の状態で赤血球の形が変わるのですが、この形が病気の指標にもなっているんですよ。それに、動物と植物の細胞では形態が違っているので挙動も変わるのですが、この辺りを含めて次は話しませんか?」

高木
「確かに固定や脱水の話の前に一度、細胞の形や機能について話すのも良いですね。細胞の話が分からないと浸透圧による原形質分離などの話もわかってきませんから」

吉田
「島根県の某温泉に入ると美人になるっていうじゃないですか。あれも浸透圧が働いて、美人の成分が浸透してくれるんですかね。」

高木
「そうですよ。だから皆さん年をとった奥様連れて島根に行くんですよ。」

小塚
「あ、なるほどね。」

吉田
「先生方、笑えないですよ。。」

高木
「冗談はさておき、私たちも温泉にでもたまには出かけましょうか。」

吉田・小塚
「いいですね!そうしましょう。」

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