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ウイルスの大きさ

世間を震撼させているコロナウイルス。しかしその存在は肉眼で見ることは出来ません。ウイルスは私たちの健康や生活に深刻な影響を与える可能性があることを知らしめました。
ウイルスや細菌は目に見えない存在ですよね。今回はウイルスの大きさや細菌との違いについて、生物学専門の先生方に伺ってみたいと思います。

ウイルスの大きさ

吉田社長
「高木先生、小塚先生、今日はウィルスについて教えて下さい」

高木
「そうですね、コロナ禍も落ち着いてきたので、忘れないようにウイルスの話もいいですね」

小塚
「まずは、ウイルスの大きさの話からはじめましょうか」

高木
「その前にですね、文字についてなんですが、ウイルスのは大文字になりますよ」

吉田
「ええ!そんな、小さい話は、ィィんではないですか」

小塚
「いやいや、間違って使ってらっしゃる方がとても多いので、結構大事なことなんですよ」

高木
「そうですね。しかも今日は文字よりももっと小さ話になりますから、良く聞いてて下さいね」

吉田
「はい、居眠りしないで聞くよう頑張ってみます」

小塚
「それでは、本題に入りましょうか。ウイルスは微生物ですが、小さくて、そのほとんどは、肉眼や、光学顕微鏡では見ることが出来ないんですよ」

高木
「ウイルスのサイズは、それぞれ種類によって異なりますが、典型的なウイルスは0.02〜0.3マイクロメートルの範囲の大きさなんですよ。」

小塚
「⼈間の⾚⾎球の直径 が約7.0マイクロメートルであることを考えると、ウイルスが相当小さいことが分かりますね」

高木
「⼈間の⽬で確認できる⼀番⼩さなものは100μm(0.1mm)程度と⾔われていますからね」

小塚
「ちょうど髪の⽑1本の太さを⾒分けられるレベルです。この事を、分解能と言ってますね」

吉田
「恐縮ですが、長さの単位について教えて貰えますか。何ナノメートルの大きさがとかマイクロメートルが、という話を良く耳にしましたが、この長さの単位のイメージがよく分からないです」

高木
「先程話したウイルスの大きさですが、0.02〜0.3マイクロメートルと言いました。これをナノメートルに直しますと、20〜300nm(ナノメートル)となり、一般的に数字で表すと1mmの100万分の1の単位になりますね。」

吉田
「ナノメートルって一体どの位の大きさになるんですか?」

小塚
「ミリ・マイクロ・ナノを表にしてみましょう、次のようになりますよ」

単位の換算表
ミリ 1mm 0.001mm 0.000001mm
マイクロ 1000μm 1μm 0.001μm
ナノ 1000000nm 1000nm 1nm

吉田
「なるほど、表にしてみると分かりやすいですね。1nmが1mmの100万分の1ということが分かります。ナノとミリはゼロ6つ違うと覚えれば良いですね」

小塚
「もう少し身近な物で、大きさの比較を説明してみましょう。」
「1mmをスカイツリーの高さと仮定しますと、1nmは砂粒位の大きさになります。ナノでウイルスの大きさは小さな石ころ程度になります」

高木
「ウイルスを見つけるというのは、スカイツリーのてっぺんから道路の石ころを探すようなものですね。まあちょっとざっくりとしたイメージではありますが、それくらい大きさが違うのですよ」

吉田
「なるほど、スカイツリーと石ころのたとえ話はイメージしやすかったです」

ウイルスと細菌の違いについて

吉田
「それでは本題に戻りまして、今度はウイルスと細菌の違いについて教えて下さい」

高木
「大きさを比較しますと、細菌は1~10μmでウイルスは0.02〜0.3μmですので、細菌の方がウイルスに比べて一桁大きいんです」

小塚
「構造を比較しますと、細菌は生物の基本である細胞構造を持っていますが、ウイルスは細胞構造を持っておらず、遺伝子情報のみが存在しているんですよ」

高木
「生存方法の違いも面白いですよ、細菌は栄養分と水さえあればどんどん自己増殖するんですがウイルスは自分自身だけで生きていくことは出来なく、人や動物などの宿主細胞に依存して健康な細胞を利用して感染を広げていく厄介者なんですよ。」

吉田
「健康な細胞を使って感染が広がるとは、やはりウイルスっていうのは恐ろしいですね。細菌とウイルスの観察方法はどのような方法がありますか?」

高木
「細菌はある程度までは光学顕微鏡でも観察が可能ですが、ウイルスは光学顕微鏡では観察ができません。そこで、電子顕微鏡を利用して観察します」

小塚
「電子顕微鏡で観察するには、様々な準備が必要なんですよ。それは奥の深い話になりますので次のコンテンツにまとめましょう」

吉田
「ありがとうございます。コンテンツが出来上がるのを楽しみにしております。宜しくお願いいたします」

ウイルスはマスクを通過するか?

吉田
「さて、話題は現実的な話になりますが、コロナウイルスの感染予防の為、マスクをしてましたがウイルスはマスクを通過しますか?」

高木
「はい、ウイルスは通過しますよ。早く言えばザルを口に当ててるようなものですね」

小塚
「世間一般に流通している不織布マスクの網目の大きさはおよそ5μm程度で、ウイルスの大きさが0.1μmですから、穴が約50倍も大きいのでウイルスは楽々と通過してしまうん
ですよ」

吉田
「なるほど、空気中に漂っているウイルスが存在していたら、いくらマスクをしていても、感染してしまうわけですね。」

高木
「しかし飛沫(5~30μm)の飛散を防止することは出来ますので、感染が疑わしい人や感染した可能性が考えられる人は、基本的にマスクを装着することで、周囲に感染を広げるリスクを軽減することが出来るんですよ。まったく無意味ということは無いんです」

吉田
「医療関係者の人が使用しているN95と言われるマスクは大丈夫なんですか?」

高木
「このマスクは5μm以下の飛沫でも捕集する能力があり、非常に優れているんですが、いくら優れていても隙間があっては意味がありません。そこで、エアロゾルによるフィット性テストという検査を定期的に行っているんですよ」

吉田
「ウイルスの大きさを考えて行くと、医療従事者が如何にリスクに晒されているかがわかりました。目に見えない存在との闘いはまだまだ続きそうですね。」

吉田
「本日は以上で終了と致します。お忙しいところ、先生方には興味のあるお話をして頂き、大変勉強になりました。次回も興味のあるお話をお願いします。ありがとうございました。」

記事監修

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