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電子顕微鏡の世界探索 ~オリーブの花粉~

オリーブの顕微鏡観察
6月初旬、我が家の玄関前に咲いたオリーブの花からは大量の花粉が舞うようになりました。そのせいか、花粉のシーズンは終わったのになんだか鼻がムズムズしております。
調べてみるとオリーブの花でも花粉症というものがあるようですね。今回はこのオリーブの花粉がどんな形をしているのか興味がわき、実験室へ持っていくことにいたしました。

植物は比較的構造が丈夫で、前処理を行わなくてもある程度の観察は可能です。
オリーブの葉も丈夫そうなので、今回は特別な前処理を行わずに電子顕微鏡で見てみることに致しました。


さっそくSEMの試料台にサンプルをセッティング致しました。
恐らく花粉の元となっているであろうところを見てみたいと思います。

  
光学顕微鏡で見てみると黄色い粒粒が数の子のようになっておりました。
葉っぱの裏側はなにやら粒粒の模様が見えます。

それでは早速卓上型SEMで見ていきたいと思います。
特別な前処理は行っていませんので、構造の収縮はあるかもしれませんがご了承ください。


50倍。なにやら花粉がぎっしりと詰まっている感じがいたします。

500倍。おそらく周辺から飛散してきたと思われる花粉らしき粒が見受けられます。

2000倍。花粉の形がはっきりと見えてきました。表面の網目の模様が不思議です。

倍率を戻していくとなんだかしぼんでおりました。もしかしたら花粉を飛散させたのかもしれません。

反対向きに並べたほうは、すでに元の形をとどめておりません。それどころか花粉を飛散させたようです。

5000倍にしますとちょっと像が見えにくくなってしまいした。観察倍率を上げるため、導電コーティングしましょう。

サンプルを取り出したら花粉が飛び散っておりました。

オスミウムコーティング500倍。
なんかこんな模様の貝殻を昔見たことがあるなあ。

オスミウムコーティング5000倍。
上のほうでフォーカスが合ってしまったようですが、5000倍でもきれいに見えました。

オスミウムコーティング1万倍。
ちょっとうまく写真が取れませんでした。前処理を行っていないせいかもしれません。

カーボン蒸着500倍。
オスミウムと違い回り込み性が無いので、陰になる部分では導通が良く取れていない様子です。



やはり立体的な構造の場合は回り込み性に優れるオスミウムコーターが良いですね。
次に葉っぱの裏側を見てみたいと思います。


100倍。

200倍。

1000倍。無蒸着だとなかなかいい写真が撮れませんでした。。

オスミウムコーティング200倍。

オスミウムコーティング500倍。

オスミウムコーティング2000倍。

蓮の葉のような傘のような構造が並んでいました。
もし前処理をきちんと行っていたとしたら、もっと立体的に傘を差しているように見えるのかもしれません。今度機会があるときに試してみたいと思います。
オリーブの花粉と葉っぱの様子を観察できました。おいしい実を沢山つけてくれると良いですね。


作業机に戻ってみたら、、
花粉が飛散して悲惨なことになっておりました。

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